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July 29, 2004

映画「沈 黙」

映画「沈 黙」(1971年)
監督:篠田正浩 原作:遠藤周作
主演:丹波哲郎、岩下志麻、三田佳子ほか
音楽:武満 徹

 遠藤周作の名著「沈黙」の映画版。この作品は、以前母がBSから録画をしてくれて初めて観たのだが、原作にほぼ忠実に映画化されており、また遠い昔の日本の貧しさや素朴さが描かれていて心に残る作品だった。派手ではないが、よい作品である。丹波哲郎は最初本人とは分からないほどだったし、若き日の岩下志麻や三田佳子も、はかなくも大変美しい。
 母が録画してくれたものは最初の5分ほどが欠けていたので、いずれ全部を通して観たい・・と時折レンタルショップで探すのだが、一度も見かけたことがなかった。昨年の夏からスカパーに加入し、日本映画専門チャンネルでこの映画を放映すると分かった時は、本当に嬉しかった。昨年録画したのに忙しくて時間が取れず、ようやく今日久しぶりに鑑賞をした。 

 遠藤の作品は日本人の民族性や素朴さ・そして冷たさや怖さがよく描かれているように思う。原作は、大学生の頃に学生YMCAの読書会で初めて読んだ。以後彼の作品にひかれ、何冊かを続けて読んだ。
 遠藤作品のみの話ではないのだが、ことキリシタンの歴史や話題になると、いわゆる「お上」の冷酷さや残忍さが非常に目に付く。これは古今東西そうなのだろうか。
 先日出先で見たBSの番組で、ある大学の教授が例のイラクへの「バッシング事件」を受けてのコメントで、「日本では『世間さま』が存在するが、これは他の国の言葉には訳しづらい。コミュニティでも、ソサエティでもない・・日本人独特のしきたりだ。」という発言を聞いて非常に興味をひかれた。
 「せめて人並みに・・人さまに恥ずかしくないように・・和を乱さないように・・」そんな暗黙の了解や調和が、私たちの日常では「美しい」とされることが多い。私個人はそれらに賛同するものではないのだが、キリシタンの哀しい歴史に触れるにつけ、そんなことを思わずにはいられない。

 イエスを裏切ったユダともシンクロするような重要な登場人物キチジローが、涙ながらに語った「わしだって、もう少し前の時代に生まれていたら、きっと真面目でいいキリシタンになりました。このご禁制の世でさえなければ・・」という叫びとつぶやきが、頭から離れない。今、この時代にあって、私はキリスト者としてどう生きるのだろうか。

 オペラ関連の話題で言うと、松村禎三氏が現代音楽で「沈黙」のオペラ作品を手がけている(関連ページはこちらへ)。映画もオペラも原作者が存命中に作品化されて、そういう意味では遠藤氏は大変幸せな作家の一人だったにちがいない。

▼関連サイト 1) 2) 

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July 05, 2004

モーツァルト「偽の女庭師」

ドン・アンキホーゼ:トウリオ・パネ
ヴィオランテ:ヴァレリア・マリコンダ
ベルフィオーレ伯爵:エルネスト・パラツィオ
アルミンダ:ロマーナ・リゲッティ
ラミーロ:ヴェネデッタ・ベッチョリ
指揮:マーク・アンドレア
スイス・イタリア放送管弦楽団

 これはモーツァルト18歳の時の作品である。ミュンヘンのカーニバルのために作曲された。この作品を観ていて、何となく他の作品よりもパンチがないかな・・と思ったのだが、彼が手がけたオペラ作品の初期のものということがあとで分かりそれで納得した。(ちなみに第1作のオペラは、何と11歳の時) しかしさすがモーツァルト! 18歳の時に作られたのに、やはり完成度は高い。
 ストーリーはかつての恋人・伯爵に仕返しをするために、令嬢が女庭師に扮する・・という内容。どこか「フィガロの結婚」を思わせるシーンも多い。フィガロもそうだが、庭(森?)のシーンが登場する。モーツァルトの時代、今とは異なって暗い森や庭は今よりもずっと恐ろしく、行動には危険が伴ったのだろう。正体不明の恐ろしいものにおびえることが多い現代の私たちとは、ひどく対照的なのかもしれない。
 
 ストーリーはこちらのサイトへどうぞ
 モーツァルトの年譜はこちらのサイト

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July 02, 2004

映画「はじまりはオペラ」

はじまりはオペラ」 1999年、ノルウェー

 以前ゆりかもめさんからこの映画のことをメールでちらっとお聞きして、何となく気になっていた。そうしたら、たまたまスカパーの「シアタ-テレビジョン」という番組で、「アイーダ」特集で放映されたので嬉々として鑑賞した。 
 映画としてはそれほど秀作というわけではないが(これはゆりかもめさんもおっしゃっていた・・)、でも全編にオペラ「アイーダ」が流れオペラや音楽ファンにはちょっと美味しい作品だ。
 ノルウェ-のオペラ座プロンプターのシヴ。プロンプターは演劇界ではよく聞くけれど、オペラにも必要だ・・ということを今回初めて知った。彼女は30代後半で初めての結婚をしようとしている。相手は再婚で子どももいる医師。二人の結婚は幸せなものになると思われたが・・。
 個人的には、「アイーダ」の演出が今までに何本か観た他の「アイーダ」とは異なっていて面白かった。それはノルウェーらしさなのかな? 普段馴染みの少ないノルウェーの風景や何気ない習慣が心地よく感じた。
 それから主人公のシヴは確かに魅力的なのだけれど、ハリウッドや西ヨーロッパほど美人に描かれてはいない。そのあたりがかえって現実味を帯びていて、同じ女性として好感を持った。社会福祉や女性の自立が進んでいると言われる北欧。いつか訪ねてみたいな。

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