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January 18, 2005

映画「白雪姫」

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■監督:キャロライン・トンプソン
■出演:ミランダ・リチャードソン/クリスティン・クリューク/トム・アーウ

幼い頃読んだ「白雪姫」のユニーク解釈版である。スカパーを契約してから、すっかりレンタルビデオ店には行かなくなったのだが、稀に中古のビデオやDVDを探しにのぞくことがある。このビデオは、そんな時に見つけた。
何となくジャケットに惹かれて「面白そう・・」と購入。しばらく経っていざ観始めたら、オリジナルとは微妙に違うのだ! まず初め白雪姫の両親はごく普通の庶民で、それでも愛し合って幸せに森の中の家で暮らしている。白雪姫の出産に伴い母は命を落とし、途方にくれた父親は赤ん坊の白雪姫を抱いたままさすらう・・。
そうして父親はある理由で小国の王になり、白雪姫には継母が出来る。ポイントはしっかり原作通りながらも、オリジナルのユニークな解釈が織り交ぜられていて単純に楽しめた。CGを駆使しているが、特に「鏡よ鏡よ鏡さん・・」のシーンが面白い。複数のミラーから、立体的な継母や白雪姫が「いちばん美しいのは私です」と飛び出す。

それにしてもこのストーリーは、「女性」がメインなんだなぁ。父王も魔法使いの男性(継母の兄)も7人の小人たちも、果ては王子さまも登場するけれど、圧倒的に主役は白雪姫と継母。
でも・・白雪姫が歳を重ねて継母と同じ立場になったら、彼女はどうなるのだろう? やはり娘や息子の連れ合いの美しさをねたんでしまうのかな。

これを観る少し前に、エミリー・ブロンテ原作の1992年版「嵐が丘」の映画を観た。ほぼ原作に忠実な作品でそれはそれでよかったのだけれど、この「白雪姫」みたいにオリジナリティがある作品もとてもいい!

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January 12, 2005

フィルムオペラ「ディドとエネアス」

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1689年パーセル作曲
ディド:Maria Ewing
エネアス:Karl Daymond
Belinda:Rebecca Evans
Sorceress:Sally Burgess

英国を代表する偉大な音楽家、パーセルが残した唯一のオペラ作品をフィルムオペラで観た。元は女学校での上映が目的だったため全部で1時間足らずの短い作品だったが、始まりの優美さや喜びから一変、終わりは哀しい結末だった・・。
パーセルは共和政府を樹立したクロムウェルが没した翌年に生まれ、36歳の若さでこの世を去る。ウェストミンスター寺院や王室礼拝堂のオルガニスト、国王付き音楽家も務めている。以下の文章は、1706年に出版された歌集の序文からの引用。『作曲者の、音楽のあらゆる分野における創作の才能は既に周知の事実であるが、彼の声楽曲はもっともすぐれているイタリアのそれに匹敵している。彼は英語という言葉の持っているエネルギーを最大に表現する天才であり、その扱いは卓越していて、聞く人に感動と尊敬を感じさせずにはおかない』(ヘンリー・プレイフォード)

パーセルの作品に初めて自覚的に向き合ったのは、恐らく昨年のコンサートだろう。古楽が専門のソプラノの絵里さんと初めてのジョイントの際、彼女が選曲した中に2曲のパーセル作品があった。私が何よりも驚いたのは、英語と音符の密接でなおかつ自然な関係だった。英語は、こんなにも美しく音楽に合うのだ・・と再認識させてくれたのは、他ならぬパーセルさま♪

オペラのストーリーは、古代ローマの詩人ヴェルギリウスの叙事詩「アイネイアス」に基づく、カルタゴの女王ディドとトロイアの王子エネアスの悲しい恋物語。 一夜限りの愛に終ってしまい愛する人を失ったディドは、哀しみのあまり命を落としてしまう。「えっ、死んでしまうの!?」と思わず画面を見ながら声を上げたのは、アダンのバレエ「ジゼル」を観て以来かもしれない。ジゼルもまったく予備知識なしに観たので、主人公が命を落とすことにあ然とした。

ディドが死の直前に切々と歌う哀しいアリア・・ジョニー・デップ主演の映画「耳に残るは君の歌声」でも何度も登場した「When I am laid in earth 私が土の中に横たえられる時」を聴いて、衝撃が走った。この曲はこのシーンで歌われるものだったのか!?
「耳に残るは~」でユダヤ人少女フィゲレがピュアな声で歌い上げるさまやロマ族の音楽とからんでいく様子もとてもよかったけれど、死の直前のアリアはさらに深い哀しみに覆われている。
いつかソプラノの絵里さんとこの曲も演奏したいな・・と以前は思っていたのだけれど(楽譜も先日いただいた)、もう少し深めてディドの死に至るまでの絶望と嘆きを実感出来ないと、私にはもったいない曲なのかもしれない。そんな発見を出来たことも、また大きな学びだった。

関連サイトはこちらこちら(※歌詞へのリンクもこちらのサイト)
曲はこちら(9曲目)とこちらで視聴できます

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January 08, 2005

映画「赤い靴」

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1948年 英国映画
モイラ・シアラー:ヴィクトリア・ペイジ
アントン・ウォルブルック:ボリス・レルモントフ
マリウス・ゴーリング:ジュリアン・クラスター
レオニード・マシーン:リュボフ
リュドミラ・チェリーナ:ボロンスカヤ
ロバート・ヘルプマン:ボレスラフスキー
製作&脚本&監督:マイケル・パウエル エメリック・プレスバーガー
音楽:ブライアン・イーズデル 衣装:ドロシー・エドワーズ
振付:ロバート・ヘルプマン レオニード・マシーン 

ずい分久しぶりにビデオを観終えた。秋冬は本当に時間がなくて、大好きなオペラのビデオもなかなか観れずにちょっと観ては途中で止まって・・。年が明けてようやく少し時間が取れるようになり、録画だけはしてたくさんたまっているビデオを少しずつ観始めようとしている。

この「赤い靴」は、アンデルセンの童話がモチーフになったバレエと、そして映画のストーリーも次第に「赤い靴」と重なっていく。その重なり方がさり気なく、気付くと「あぁ」という感じでつながっていて品がいい。このあたりは英国映画ならではかもしれない。英国映画は個人的に好きである。フランスほど不思議感は少なく(フランス映画ももちろん好きなのだけれど、時に分からないノリも多い)、かちっときれいに仕上がっている。ヘンなひねりがなくて観やすい作品が多いように思う。英国映画で好きなものは、ケン・ローチ作品や「司祭/プリースト」だろうか。
近年「バックステージツアー」がはやっているそうだが、この映画はそんな「バックステージもの」と言えるかもしれない。レルモントフバレエ団の栄枯盛衰、アラン・ドロンにも似てハンサムだけれど冷淡なレルモントフ、バレエのプリマたち、バレエ団の踊り手やスタッフ、指揮者や作曲家・・。有名なバレエのハイライトもちょっぴり観ることが出来、それから時々フランス語も混じっていて満足。役の名前やなまりから「どこの国の人?」なんて想像するのも楽しい。

個人的に驚いたのは、バレエ「赤い靴」の中で、ドイツのコラール「Nun komm,der Heidenheiland(いざ来ませ、異邦人の救い主よ)」が使われていたことだ! この曲は中世のアンブロシウス聖歌を元に、宗教改革者のマルチン・ルターが作ったものとされている。
バレエのラストに近いシーンで、教会前のBGMに使われている。シーンと教会暦の深い関連性はあまりないように思われたが、このコラールを初めて作曲家が用いるシーンでの彼の台詞が面白い。ピアノを弾きながら彼は曲の説明をする。
「ここでは感傷的な賛美歌(Hymn Tune)ではなく、コラールを用います」。何気ない一言なのだけれど、教会音楽や賛美歌に明るい人には「なるほど」と思えるようなさり気ない言葉。確かに19世紀の賛美歌は、センチメンタルな旋律や歌詞がとても多い。個人の信仰のみを歌いすぎる・・という批判も時々聞かれる。作曲家が用いたこのコラールの元は「アドヴェント=待降節」なのだけれど、それよりはむしろメロディの力強さと物悲しさがクローズアップされている。「こんなに哀しい旋律だったのか・・」と驚きを抱いた。

ラストシーンはとても切ない。ヴィヴィアン・リー主演の「哀愁」を思わせるような哀しい結末。あの映画もバレリーナが主人公だった。女性は芸術か愛か・・どちらかしか選択出来ないのだろうか? 何かの道をきわめたいと思っている人には、余計にしみる映画だろう。
関連サイトはこちらこちら
日本公開は1950年だそう。敗戦後たった5年後に観たら、きっと今よりもさらに衝撃だったのだろうな。

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