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March 25, 2005

モーツァルト「魔笛 サーカス版」

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La Flute Enchantee(Cirque)
考案:クロード・サンテッリ、アレクシス・グリュース
演出:ベルナール・ブロカ
タミーノ:ドミニク・モラレス パミーナ:アリア・レイ=ジョリー
パパゲーノ:エフゲニー・アレクシエフ
夜の女王:ジョーン・ユーバンク
ザラストロ:ジョゼフ=ミゲル・リボー
パパゲーナ:ラレンカ・オアロ
コロン管弦楽団&合唱団 指揮:アンドレアス・ストール

普段モーツァルトをはじめ、いわゆる古典派の音楽を聴くことは少ない。古典派時代のオルガン作品は極端に少ないことも遠因だろうか(モーツァルト、ベートーヴェン、ハイドンらはそれぞれに自動演奏オルガンのための小品を残している)。モーツァルト作品は確かに美しいのだけれど、今まで取り立てて私のハートをつかむものではなかった。でももしかしたら、モーツァルトは個人的にはオペラ作品がいちばん好きかもしれない。
遅まきながら、モーツァルトの「魔笛」を観ることが出来た。しかもサーカス版! この直前に恐らくドイツ版らしいものを少し観ていたのだけれど・・これがまぁ何とも「忠実に再現」していて、演奏はよかったのだけれど、セットや演出が今ひとつあか抜けていなかった(ドイツの皆さん、ごめんなさい)。その直後に観たせいか、このサーカス版は非常に面白かった。しかも歌はもちろんドイツ語なのだが、語りの部分がフランス語! フランス大好きな私にはとっても嬉しくありがたかった♪ 演奏はフランス風なのか、微妙にそろっていなかったりして(フランスの皆さん、ごめんなさい)それも何だかご愛嬌だった。

この「魔笛」には想い出がある。まだ小学生の頃、いわゆる「芸術鑑賞教室」のようなもので体育館で数人の歌手の演奏を聴いた。その時にこの「魔笛」のパパゲーナとパパゲーノのアリアが入っていた。派手なセットも衣装もなくてほぼ歌だけだったのだけれど、その時の語りや歌は今でもまぶたに焼き付いている。幼い頃の記憶と体験というのは、とっても大切なものなのかもしれない。

全編を通して観て驚いたのは、有名な夜の女王のアリア。「ラソラシ♭ ドドドドドドドド ファ~、ファミファソ ララララララララ レ~♪」というあのフレーズである(こちらでMIDIを聴けます)。超高音でソプラノにとっては難曲であるだろうが、歌詞の意味を知りもしないで何となく印象としては歓喜にあふれた曲なのかなぁ・・と漠然と思っていたのだが、実は大違い!(このあたりは、映画「アマデウス」のシーンが焼きついているのかも) 夜の女王の怨念に満ちた復讐を誓う曲なのである。夜の女王もどちらかと言うと悪役に描かれていたし、後でもう少し丁寧にテキストや原作のあらすじを追ってみたいと思う。→いつも予備知識なしで観る人・・

演奏はどれもよかったが、特にパパゲーノのエフゲニー・アレクシエフとザラストロのジョゼフ=ミゲル・リボーが絶品。アレクシエフはフランス語での語りの部分もお茶目でそそっかしいパパゲーノをコミカルに演じ、リボーは格調高く存在感と美声をアピールしていた。神話の世界のイシスやオシリスは、ヴェルディの「アイーダ」にも描かれている。衣装はさり気なく日本のテイストも取り入れられていて、よく観るとザラストロの部下たちは日本の神官のようだったり、タミーノも日本の帯らしきものをしめていて面白かった。
サーカス版は思ったほど派手で華麗な演出ではなかったが、しかしサーカスの舞台で円形を用いながらの演出はやはり珍しく、親子連れが多くて気軽にオペラを楽しんでいた様子も日本ではあまり観られないので少しうらやましくもあった。

魔笛関連サイト 1) 2) 3)

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March 07, 2005

映画「オペラ座の怪人」

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映画館の近くに住んだことがあまりないので、普段はなかなか映画を観ることは少ない。観ても一律1000円になるレイトショーぐらい。久しぶりに昼間の時間&価格で映画を観た。どうしてもこれだけは、映画館で観たかった!!
なかなか時間が取れず、ちょうど連れ合いが会議で郡山へ用事があったので、私も便乗して映画館へ馳せ参じた。

ミュージカル「オペラ座の怪人」は、初めての渡欧旅行の際に2回も観ることが出来た。あの素晴らしい舞台は、生涯忘れることがないだろう。劇場自体の素晴らしさ、休憩時間に地下でのドリンク(アルコール♪)など、どれをとっても本当に素晴らしかった。ほとんど予備知識もなく観てしまったのだが、「恐らくミュージカルとしては最高級の出来」と心底思った。これは映画よりも舞台の方がさらにそうかもしれない。映画は細部にこだわり大変美しいのだが、幻想性やダイナミックさはむしろ舞台の方が勝っていた。
個人的にロンドンやイングランドよりもスコットランド愛好派なのだけれど、「オペラ座の怪人を観るためだけでも、ロンドンに来たい!」と密かに思ってしまった(笑)。映画や舞台が好きな連れ合いも、これなら文句なく楽しめることだろう。

このミュージカルに何故こんなにも惹かれるのか・・と我ながら思うのだが、それはひとえにアンドリュー・ロイド・ウェバーの音楽の素晴らしさに他ならない。ウェバーの音楽は、一度耳に付くと離れない。素直に聞きやすいだけではないのに、心を捉えて離さない。彼の傑作は数多く、他には「ジーザス・クライスト・スーパースター」「キャッツ」「エヴィータ」などどれも大ヒット作ばかりだ。彼の「レクイエム」も素晴らしい。
「オペラ座の怪人」の曲を聴いていると、一緒に歌いながら涙があふれそうになる。それだけドラマティックで情感的なのだ。

映画版と舞台版の違いは、当たり前と言えばそうなのだけれど、舞台はトータルな芸術として耳に目に焼きついている。一方で映画は細部の再現にはこだわっているけれど、曲や全体のテンポからすると舞台版の方がよく、また映画は主役の3-4人の強調とアップ、そして実際に人物描写自体もクローズアップされている。その点の違いが面白かった。

ファントム(怪人)を演じたジェラルド・バトラーは、たくましくも美しいファントムだ。横顔は、どこかアントニオ・バンデラスにも似ている。ちなみにバンデラスは「エヴィータ」で主役を歌い演じ、こちらも素晴らしかった。歌姫クリスティーヌ役のエミー・ロッサムは、収録時には何と16歳だったと言う。その若さもさることながら、幼い頃よりオペラの勉強をして舞台を踏んでいたと言うのだからさらに驚きだ。好演していたけれど、時折アメリカの女優に感じることがある。それはきれいで垢抜けしすぎていて、時代物を演じた時に微妙な違和感を感じることだ。彼女はそこまで違和感はなかったけれど、よくも悪くも「きれい」だった。
ラウル子爵役のパトリック・ウィルソンは、歌声では秀逸だった。舞台経験も非常に豊富なようだが、表現力も演技力もある歌声で、「ジーザス・クライスト~」のジーザスを出来そうな予感さえ感じた。

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