April 01, 2011

映画「友だちのうちはどこ?」

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キアロスタミ監督作品を観たのは、おそらく初めて。彼の名前を聞いたのは、当時住んでいた小さな街で開催された映画祭。「キアロスタミが旬だよ」と教えてくれた彼女は、あるカルト団体のメンバーだった。今はどうしているのだろうか・・。

とても素朴なストーリーである。映像も派手ではないのだが、妙に惹きつけられる。そして現代の話であるはずなのに、時折イエスの時代やその周辺のような錯覚に何度も襲われた。歳を重ねた老いた男性とのやりとりや少年のひたむきさ、ひたすら友だちの家を探し回る様子など、監督が意図していたのかはわからないがとてもイエスっぽくてキリスト教的メッセージまで感じ取ってしまった。
私たちの周辺では失われてしまった何かが、この作品には確かに描かれている。

ラストがまたほのぼのする。なお、登場人物はパゾリーニの「奇跡の丘」と同じく、いわゆる素人だそうだ。

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March 28, 2011

ヒバクシャ 世界の終わりに

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まさかこんなタイミングで鑑賞するとは夢にも思っていなかった・・。福島の原発事故のさなか、「原発休暇(?)」ともいうべき時間がぽっかりと与えられた。
ずいぶん前に録画していて観られなかった本作品。

湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾によって、イラクでは子どもたちの白血病が急激に増えた。日本に原爆を投下したあの国は、ほかの国でも同じような・・いやもっと見えにくいことをしている。
広島で被爆された肥田舜太郎医師と、アメリカのハンフォード。いつも事故や災害が起こる前は、反対運動をしている預言者のような人々は時に疎まれ笑いの的でさえある。ハンフォード近くで作られた農作物は、世界各地に輸出もされている。何十年後かの責任はいったい誰がとるのだろうか。

しかし、事故が起きてからでは全てが遅いのだ・・。自分自身を含めて、どこか他人ごとだった私たち。しっかりこの作品も鑑賞してほしい。公式サイトはこちらへ
鎌仲ひとみ監督は「六ヶ所村ラプソディ」も撮っている。次はぜひ、そちらも鑑賞したい。

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October 26, 2009

真夏の夜の夢

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※2006年に書きましたが、未アップだったので掲載します♪

シェイクスピア原作、劇付随音楽ではメンデルスゾーンのものが最も知られていますが、英国バロック期のパーセルを始め複数の作曲家が作品化しています。

以前大学の講義で「結婚式の音楽」がテーマの時、今日録画したソフィ・マルソーやケヴィン・クラインが出ている版を紹介しながら見せたのですが、その時は吹き替えしかレンタルショップでは置いてありませんでした。今回は初めて字幕で観ました。

再鑑賞して驚いたのはメンデルスゾーンの有名どころはもちろん、ずいぶんオペラの曲が採用されているのです! これはまだオペラファンではなかった以前はあまり気づかなかったことです。ヴェルディの「椿姫」から『乾杯の歌』、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲、ドニゼッティの「愛の妙薬」などなど。

シェイクスピアは、やはり台詞が美しいですね。俳優人もどこかそれを意識した美しい発音になっています。声楽家波多野睦美さんのゼミや彼女の清涼感あふれる英語の発音を想い出しました。
妖精の女王タイタニアは大変美しく、役柄にぴったり。英国人が大好きだという妖精の世界もファンタジックに描かれています。

1999年の映画ですが、舞台はシェイクスピアの時代ではなくて19世紀イタリア。19世紀の衣装が魅惑的です。

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October 22, 2008

王女メディア

何とも不思議な作品である。パゾリーニ監督作品が観たくて、おまけにマリア・カラスが主演とあらば観たいと思うのは自然なこと。

オペラファンである知人に「カラスは歌っていませんよ」と聞きつつ、お借りした。少し年齢は上であるが、それでも充分に美しいカラス。ギリシャ悲劇の王女メディア(いわゆる「メディア」の語源になっている)は、夫に裏切られて嫉妬に狂うのだが・・。
どうしてもメディアとカラスが重なって見えてしょうがなかった。夫がありながら海運王オナシスとの恋に落ちたカラス。晩年は一人寂しく不遇であったらしい。複数の映画にもなっている。

「メディア」関連で言えば、オペラにもなっていてカラスが歌っているし、パリ・オペラ座のバレエ「メディアの夢」もまたよかった。

よく言われることだが、この作品は邦楽・ブルガリアンヴォイスなど非ヨーロッパ系の音楽が多用されている。とても合っているようなそうでもないような・・というのは「奇跡の丘」にも言える。でもきっと、それがパゾリーニらしさなのか。
パゾリーニは、抗っているものと大切にしているものが実にはっきりとしている監督だ。だからこそ、彼に惹かれるのかもしれない。

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July 12, 2007

映画「わたしのグランパ」

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時折、邦画に癒されたりホッとさせられる。邦画特有の静かな雰囲気や、やはり自国語の安堵感もあるのだろうか。

ずいぶん前にスカパー!で録画をしたのにずっと観られず、ようやく鑑賞。とにかく菅原文太が際だち、粋なグランパである。あまり登場しない連れ合いのグランマも美人。若い頃はさぞや美男美女カップルであっただろう。

菅原文太扮する珠子の祖父以外は、非常に「普通」で自然な登場人物のオンパレード。中学生の孫娘珠子も美しさが目立つ前の年齢だということもあってか、それほど華やかではないのがむしろ好印象。

歳を重ねてなお深みと円熟味を増すのは、本望であろう。しかし願ってみたところで、なかなかそれは叶うものではない。菅原文太は若い頃の「トラック野郎」シリーズを、それこそ小樽の祖父たちと共に観た記憶がある。あの頃の演技よりも、今の方が圧倒的な存在感である。強いて言えば、和製ショーン・コネリー!?

グランパは結果的に殺人事件を引き起こし、刑務所で必要な年月を過ごす。中学生の孫娘珠子は、恐らく会うのは初めて。最初はとまどいつつも、彼の優しさと魅力にどんどん惹かれてゆく・・。
このグランパを観ていたら、何故かイエスを思った。イエスがずっと長命だったら、人を愛するが故に刑務所に捕らえられたり、命を落とすことですらあったに違いない。

私のグランパは・・母方の祖父は、60代でガンに侵されて亡くなった。亡くなる前の最後の頃、病室で「うるさい!」と険しい表情だった祖父を今でも覚えている。それほど病が重くて、孫にきつい言葉を投げかけるほどしんどかったのだろう。
父方の祖父は、戦時中に捕らえられてシベリア抑留兵だったそうだが、比較的長生きをして天に召された。穏やかで物静かな祖父だったが、彼の苦労を自身の口から聞けることはほとんどなかった。いま私の手元には、祖父や他の抑留兵の方が綴った「スコーラ・ダモイ」という書籍が残されている。

そんな風に家族をふと思いやり、振り返る気持ちになれるよい作品である。ロケ地は栃木のようだが、栃木県境にもほど近い白河ともよく似た風景が広がっている。
音楽の話題にあえて触れるならば、グランパと珠子が参加する年末の華やかなパーティ。ここでは島田歌穂の実際のパートナーである島健氏がピアニスト役で登場して音を奏で、そしてスコットランド民謡で知られる『蛍の光』が皆で歌われている。

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April 17, 2006

「ナビィの恋」

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沖縄の粟国島が舞台の邦画「ナビィの恋」を観た。知人のweb日記に書かれていたので、観たいなぁと思っていたらちょうどスカパー!の邦画チャンネルで放映されたのだ。それにしても、最近決して派手ではないのだが質のよい邦画作品が増えているように思える。

観光化されていない粟国島で起こる日常と非日常。島出身の奈々子が東京から疲れて里帰りをする。幼なじみのケンジや一人旅で気ままな福之助(学生YMCAには、こんな学生が多いかも)。そして奈々子のおじぃとおばぁ。若い俳優がよい意味で存在感が薄れるほど、おじぃやおばぁ、島の人々のキャラクターが豊かだ。
おばぁの平良とみさんは、ちゅらさんを始め今ではすっかり全国区のかわいい沖縄のおばぁで知られている。

美しい沖縄の風景や60年を超えて一人の男性を愛し続けるひたむきなおばぁの恋愛もさることながら、音楽の豊かさに心を奪われた。2月にカンテレ(フィンランドの民族楽器)のLIVEに足を運んで以来、民族音楽への興味が増している。この映画はそんな今の私にはぴったりだった。しかも驚いたことに、実にさり気ないのだが小さな足踏みリードオルガンも登場していた! ヴァイオリン(フィドル?)や太鼓、パーカッションとの即興やアンサンブル。
愛してるランド(アイルランド)から来たオコーナーは、アイリッシュらしくアイルランドダンスを踊りながら弦を奏でているし、全体に流れる三線はやわらかく人々の生活に密接だ。

三線を思うとき、いつも津軽三味線を想い出す。両者はある意味で対極である。平和的で青い海の上をどこまでもわたっていくかのような優しい音色の三線に対して、まるで真冬の厳しい地吹雪を思わせる津軽三味線。強いバチでさばかれる音色から聞こえる低音は独特のものだ。津軽三味線の音色からは、津軽弁が聞こえる。「ベベン ベン! じょんから じょんから・・じょっぱり じょっぱり・・」

島の歌手・麗子の存在と役柄も面白かった。三線をバックに歌うカルメンの「ハバネラ」は圧巻。カルメンの原作はロマ族の女性がモデルなので、都市圏の洗練された女性が歌うよりもこちらの方がむしろイメージにより近いのかも知れない。沖縄ラテンとも言える明るい力強さは、イタリアのそれにも重なっていく頼もしさ。「ピアノ・レッスン」でも知られるマイケル・ナイマンが音楽を担当していたことも嬉しい裏切りだった。
沖縄の風と音色が部屋の中にまでさわやかに吹き込んでくるような・・そんな作品である。

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March 29, 2006

映画「真夏の夜の夢」

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シェイクスピア原作、劇付随音楽ではメンデルスゾーンのものが最も知られていますが、英国バロック期のパーセルを始め複数の作曲家が作品化しています。

以前大学の講義で「結婚式の音楽」がテーマの時、今日録画したソフィ・マルソーやケヴィン・クラインが出ているこちらの版を紹介しながら見せたのですが、その時は吹き替えしかレンタルショップでは置いてありませんでした。今回は初めて字幕で観ました。

再鑑賞して驚いたのはメンデルスゾーンの有名どころはもちろん、ずいぶんオペラの曲が採用されているのです! これはまだオペラファンではなかった以前はあまり気づかなかったことです。ヴェルディの「椿姫」から『乾杯の歌』、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲、ドニゼッティの「愛の妙薬」などなど。

シェイクスピアは、やはり台詞が美しいですね。俳優人もどこかそれを意識した美しい発音になっています。声楽家波多野睦美さんのゼミや彼女の清涼感あふれる英語の発音を想い出しました。
妖精の女王タイタニアは大変美しく、役柄にぴったり。英国人が大好きだという妖精の世界もファンタジックに描かれています。

1999年の映画ですが、舞台はシェイクスピアの時代ではなくて19世紀イタリア。19世紀の衣装が魅惑的です。

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May 14, 2005

映画「Mバタフライ」

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Mバタフライ [M.Butterfly]
1993年【米】 監督 :デビッド・クローネンバーグ
男優 :ジェレミー・アイアンズ ジョン・ローン
音楽 :ハワード・ショア

久しぶりの更新になりました。
昨日は実に久しぶりのオフで時間が出来たので、ハードディスクレコーダーにたまっていた録画済みの映画を観ることにしました。予備知識は全くなく、タイトルだけで録画したのがこの「Mバタフライ」。おそらくオペラ「蝶々夫人」のストーリーをベースに・・とは予測がついて、「面白くなかったら途中でやめよう」と思っていましたが、いざ見始めたら「へ~」という感じでついに最後まで観てしまいました。

オープニングで出演者の名前が登場し、その中にジョン・ローンの名前がありました。「ふーん」と映画を観てもしばらくは気づかなかったのですが、何と彼は女装して美しいマダム・バタフライ(蝶々夫人)を演じていたのです! ちょっと声のトーンが低いなぁとか不思議な違和感もないわけではなかったのですが、東洋的なミステリアスなのだろうとどこか納得をしていました。
バタフライに恋をするフランスの外交官ルネ役は、ジェレミー・アイアンズ。「仮面の男」や「永遠のマリア・カラス」など様々な映画に出演をしていますが、この映画は彼の美しさがよく描かれていました。こんなに素敵な男優だったのだ・・と感心させられました。
初めての出会いで交わすルネとバタフライとの会話は、個人的に興味を覚えました。オペラ「蝶々夫人」に感動してバタフライに恋をしたルネですが、彼女とのやり取りで西欧と東洋の違いを如実に突きつけられます。「バタフライはフェミニストなのかなぁ」と思ったのですが、実態はコミュニストだったようです。彼女は本当は京劇の女優。英語だと京劇は「北京(ベイジン)オペラ」なのですね。なるほど~。

ジョン・ローンの女装にも驚きながら、この映画は実話をベースにしていると知ってさらに驚愕でした。60年代の頃世界的に反体制の動きが強まり、日本でも学生運動などが盛んになってきますが、中国では文化大革命の頃、パリに戻ったルネの周囲にも左翼の学生運動の波が押し寄せます。ルネはバタフライへの愛情からスパイになり、後に捕まってしまいます。

ラストシーンは、とても切なく哀しいです。ルネはバタフライが男性とはまったく知らずに彼(彼女)を愛します。服を脱がずに愛を交わすことを「東洋の美・恥じらい」と信じ込まされ、彼はそれを彼女のために守り続けたのです。
オペラのバタフライは「名誉の死」を選び取りますが、刑務所でルネがとった行動は・・!? 京劇のメイクをしたルネは、まるでピエロのように哀れでした。
ラストまで観て、ようやくタイトルの意味が分かったのです。「M」にはMadameとMonsieurの両者の意味が込められていたのでした・・。
続きは映画をご覧いただければと思います。
ストーリーの詳細はこちらこちら

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February 18, 2005

映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」

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1994年アメリカ トム・クルーズ(レスタト)、ブラッド・ピット(ルイ)、キルステン・ダンスト(クローディア)、アントニオ・バンデラス(アーマンド)他

タイトルからして「ヴァンパイア」だから、キリスト教との対比やヴァリエーションできっと宗教音楽もあるはず!と数年ぶりに観直しました。まさにその通り・・で、オープニングから「リベラ・メ」が始まります。アンドリュー・ロイド・ウェバーの「レクイエム」にもどこか似たような現代的な曲でしたが、オリジナルの曲だったようです。音楽はエリオット・ゴールデンサール。この映画のサウンドトラックは全体によく仕上がっています。

「リベラ・メ」
 主よ、私を死から救って下さい、あの恐ろしき日の天と地の震え動く時、
 火をもって世を裁くため来られる時。
 私は恐れおののく、審判のためにいつか来る怒りの日に。

 天と地の震え動く時。この日こそ怒りの日、災いと不幸の日
 大きな嘆きの日。火をもって世を裁くため来られる時。
 主よ、永遠の安息をかれらに与え、
 永久の光をかれらの上に照らして下さい・・・

クラシックの話題で言うと、数百年を生き延びるヴァンパイヤの歴史と共に、さりげなく音楽の変遷も味わえます。最初はきらびやかな貴族生活の名残が残る18世紀末。使用される楽器はチェンバロです。少女でヴァンパイアになってしまったクローディアが弾いている楽器は、音色から推察するとピアノ・フォルテのようです。そしてレスタト(トム・クルーズ)がドラマティックに奏でるのは、ベートーヴェン風のピアノ曲で音色はピアノ・フォルテからさらに近代的なピアノへ。
以前観たのにすっかり忘れていたのは、何とシアターオルガンらしきパイプオルガンが登場すること!! アントニオ・バンデラスが主催するパリのヴァンパイア劇場ではオーケストラの代わりに華麗なオルガンの音色と演奏がわずかですが聴くことが出来ます。舞台上で女性の血を吸うシーンは、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を思わせます。最後のシーンが激しいロックで終わるのも、まさに20世紀音楽の象徴でしょうか。JAZZや現代曲風なサントラも小気味よく使われています。

他の挿入曲では、古楽器を使用したヘンデルのオルガンコンチェルト。リコーダーの素朴な音色が美しい。モーツァルトの「ハープとフルートのためのコンチェルト」も登場。いずれも優雅な曲ばかりです。
それにしても、ブラピの美しさよりも音楽に夢中になっている私ってヘン?

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February 02, 2005

映画「サンフランシスコ」 

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1936年度 アカデミー賞 録音賞受賞作品
監督 W・S・ヴァン・ダイク
出演 クラーク・ゲーブル、ジャネット・マクドナルド
スペンサー・トレイシー、ジャック・ホルト
製作年 1936年 アメリカ

スカパーで初めてこの映画を見かけた時、中学生の頃からファンになってしまったクラーク・ゲーブルの粋な演技にうっとり・・。ダンディなのにどこか少年のような茶目っ気たっぷりの表情がたまらない。そして主演のメアリー役のジャネット・マクドナルドがオペラ劇場でグノー「ファウスト」のマルガレータ役を歌うシーンにさらに魅了させられた。この「ファウスト」の演出は私が知っているものよりもクラシカルなものだったけれど、それがまたよかった。マルガレータは、パリのバスチーユで観たオペラとはまた違って、可憐で素朴な農村の娘のように描かれていた。短い時間ではあるが、「椿姫」の有名なアリアのシーンも登場する。とにかくジャネットが美しい。

キリスト教音楽の話題でからめると、メアリーは田舎牧師の娘という設定でクラーク・ゲーブル演ずるブラッキーの幼なじみでもある神父(スペンサー・トレイシー)の教会で、オルガン伴奏と少年合唱団と共にアダムズの「聖なる都エルサレム」を歌う。このオルガンは、実は宗教や神を信じていないはずのブラッキーからの献品なのだ。
全体的にダンスホールやオペラハウスなど華やかなテンポで進む映画であるが、後半で実際に起こったサンフランシスコ大地震の場面を迎えると、一転してパニック映画の様を呈する。
ブラッキーも大地震で愛するメアリーとはぐれてしまって崩れ落ちた市内をあてもなくさまようのだが、ついにメアリーを発見する。彼女は避難民が多く集う場所で、「主よみもとに(映画「タイタニック」でもよく知られる有名な賛美歌)」を市民と共に合唱していた。天国へ旅立つ人のための最後のはなむけの歌だったのだろう。
ラストでサンフランシスコ復興を予感させるシーンからは、「グローリー・ハレルヤ!(ヨドバシカメラのテーマと言えば、ご存知?)」の賛美歌を市民が大合唱、最後はテーマソングの「サンフランシスコ」と重なって終わりを迎える。音楽だけを取り上げても非常に楽しめる作品である。
モノクロ映画だが、まったくそんなことは問題にならないほど素晴らしい作品だ。こういうものを「娯楽大作」と言うのだろう。とにかくクラーク・ゲーブルがかっこいい!! ちょっと悪のブラッキーはまさに彼のためにあるような役柄だ。メアリー役のジャネットも非常に美しく、往年の銀幕女優にただただ見とれてしまった。

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