September 15, 2006

全国学生YMCA賛助会 ニュースレター20号より

人を育てる使命
日本YMCA同盟理事長 中川 善博

 全国学生YMCA賛助会が発足して6年になります。また、全国の学Yに連なる若者たちの信仰と友情を育み、生き方を問いあったあの東山荘も昨年90年を迎えました。
 学生YMCAの歴史は、先駆けともなる熊本バンドや札幌農学校から数えてほぼ130年、今日の学Yにつながる旧制高等学校に設立されてから、120年を近く迎えようとしています。この間、学生YMCAで育った青年達が、社会で活躍するとともに、YMCAのスタッフやレイパ-スンとして、各地のYMCA運動を担って来ました。
 YMCAは一貫して人を育てることを使命として来ましたが、学生YMCAは将にそうした場として、聖書を通して真摯に生き方を問い求める場であり、仲間と出会う場であると言えます。それは何時の時代にも変わらず受継がれて来ました。
 青年が、自らの生き方への問いかけを止めたとき青春は終わり、YMCAが祈りと聖書を忘れたとき、YMCAでなくなると言えますが、学生YMCAは、学生という場を通して自らの生き方を、聖書に問いながら共に学んで行くところであり、その拡がりが学Y運動であると思います。
近年、大学改革が進み、大学や学生生活が変わっていく中で、活動を休止していた学YやSCAが再建され、インターカレジエイトな活動も活性化しつつあることは大変心強いことです。学Yを学生時代だけの関わりで終わるのではなく、社会の中にあっても聖書を通して自己の生き方を問いつつ、YMCA運動の担い手・支え手として、つながりをもち続けて欲しいと願っています。
 この一年あまり、日本のいくつかの都市YMCAや学生YMCAで100年を越える記念の集いがもたれました。富国強兵のナショナリズムが勃興する中で、若きキリスト者たちが、厳しい社会の目を受けながらも強い信仰と溢れる使命感のもとに、立ち上げたそれぞれのYMCAの歴史に触れる時、改めて深い感動を覚えます。
 なかでも、この4月に100年を迎えた在日本韓国YMCAにとっては、苛酷な植民地支配の時代やさまざまな苦難が続く100年でありました。とりわけ1919年朝鮮に於けるいわゆる3・1独立運動の導火線となった独立宣言が、在日本東京朝鮮キリスト教青年会で韓国朝鮮の若きキリスト者や学生達によって行われたことは、韓国近代史にとって欠くことのできない出来事であり、そうした歴史をもつ在日本韓国YMCA100年の意味の重さを感じます。同時にYMCA運動の使命や役割を問いかけていることに深く考えさせられます。
 日本のYMCA運動は、いま多くの課題に直面しています。特に、公益法人改革はYMCAの今後のあり方に影響を及ぼしかねない問題であり、法人格や寮をもつ学Yへの影響も考えられます。また、個々のYMCAは、財務面や事業面での問題とともに、ボランタリ-ム-ブメントとしての組織維持の人材が課題となって来ています。学Yが、日本のYMCA運動を担って来たように、今また、YMCA運動の担い手を次々と生み育てて行くことが求められています。
 その面からも、明日を担う学Yの活動を支える賛助会を、もり立てて行きたいものです。 (関西大学YMCA OB)

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WHAT’S UP NOW① 学生YMCA賛助会西日本地区セミナー

WHAT’S UP NOW ①
学生YMCA賛助会西日本地区セミナー

『いま期待される学生YMCAのはたらき-キリスト教は学生の課題に応えられるか』をテーマに、3月25日、学生YMCA賛助会西日本地区セミナーを京都YMCAを会場に行ないました。
 まず最初に、昨年から学生YMCA設立の動きのある神戸女学院大学のチャプレン飯謙氏より開会礼拝があり、申命記30章11節~14節から「アガペーの愛による人間としての誇りの回復」についてメッセージをくださいました。
続いて、学生YMCAの使命を考えるときに、柱となる4つの視点から大学・学問の現場にて第一線でご活躍の方々からご発題を頂きました。
 「キリスト教」の視点から片柳榮一氏(京都大学教授・京都大学Y理事長)は「宗教は個人の自発性を生かすもの、『お前はこの人生で何をなすのか』と問うもの」であり、「個人を超えるものがいきなり根本に強制力をもつ『国家』となる日本社会」において「社会の質を変えるボランタリーアソシエーションの一つとして教会、YMCA・YWCAは社会の中で課題を担うという自覚があるだろうか」と問題提起。「大学」の視点から中道基夫氏(関西学院大学神学部助教授・同大学Y顧問)はマンモス化した大学では「誰かと何かをする時間」「面倒くさい人間関係の場所」こそが必要であり、小さな群れであってもまず「場(天地創造のように神様はまず「場所」を作られる)」を作ること、一方で「大学」の枠組みを超えた全国・世界的なつながりが学Yの魅力であることを語られました。「学生」の視点から新堀真之氏(元共働スタッフ・同志社大学神学部)は最初に、「学生」と一くくりにするのではなく、その多様性を踏まえることが肝要であると述べ、「何者かにならないプレッシャーにさらされる学生たち」の現状において、「人と話す・人の話を聴く」こと、そして現場に出向くことを通して「自分のあり方が強烈に問われる体験」をし「自分がどこに立つか」という「答えのない歩み」に踏み出すことが学生YMCAであると話されました。「YMCA」の視点から福田奈里子氏(学生部委員・活水女子大学YWシニア)は学生YMCAを通して出会ったアジアの現実と小さくされた人々の存在、聖書からの学びと社会を変える力を持つ学生・青年の可能性について語り、「聖書を通して自分の生き方を問い、原点探しをする」学生YMCAのあり方と、YMCAの多様な働きに触れ、「都市YMCAで求められるクリスチャンリーダーシップなど、ぜひ卒業後もYMCAの広がりの中で学Yのリーダーシップを発揮して欲しい」と語りました。(司会に岩野祐介氏・京大シニア)
 その後、フロアを含めたディスカッションの中では、藤森元氏(元学生部主事)や島田恒氏(神戸大学YMCAOB)など先輩方から、「学生のニーズとキリスト教の可能性の一致点をどうつかむか」「現役学生が主役になれる『居場所』の創造」、「(かつての否定媒介のように)自己、大学、社会を厳しく批判的に捉えることができているか」という意見も出され、世代、関わりを越えて学生YMCAへの情熱を分かち合うときとなりました。
 また、インドスタディキャンプに参加した松本敬史氏(京大Y)、深渡歩氏(関学Y)から帰国直後の声を聴き、有住航氏(関西地区共働スタッフ)からは現在の関西地区学生YMCAの状況について報告がり、六甲聖書研究や関西主事宅聖書研究へのOBGの参加も呼びかけられました。
 会場を提供くださった京都YMCAからは西岡博司スタッフより協働してYMCAのミッション実現の道を歩みたいとのメッセージ、最後に山川一郎学生部委員長より、今回の議論を結論づけず、継続した話し合いを行うこと、学生YMCA賛助会はそのような「生きた場」であり多くの方に協力を頂きたいとのご挨拶がありました。(文責:事務局)

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WHAT’S UP NOW② 第11回インド・スタディキャンプ

WHAT’S UP NOW ②  第11回インド・スタディキャンプ
団長・九州地区共働スタッフ 三上 梓

 第11回インド・スタディキャンプ(2月27日~3月16日)に団長として参加しました。全国から集まった7名の学生たち、スタッフ1名と共に参加した今回のキャンプは、参加者各人にとって、貧困、宗教、信仰について深く考えるための多くの出会いと対話の機会となりました。
 キャンプの中心は、二つの活動でした。一つは、南部の大都市バンガロールのSCM-Indiaが主催する、グローバリゼーションに関する研修に出席し、グローバリゼーションのもたらす負の側面である、貧富格差と構造的暴力の現状を、インドの文脈において視察することです。グローバリゼーションは、一方では、大都市と富裕層に発展をもたらし、他方では、貧困と、それゆえの農村部から都心への人的資源の移動をもたらします。また、児童の経済的・性的搾取を容認・助長するのです。そのことを実感する契機となったのが、ストリートチルドレンの支援をするバンガロールYMCAの活動の視察であり、スラム地区の視察でありました。
 もう一つは、インド最南端のカニャクマリにあるアンプマナイ・ボーイズホームに滞在し、キリスト者による教育支援の実態を知ることです。ホームでは、主として財政上の理由により就学困難な子どもたち(小学一年~高校三年男子)35人の共同生活の場に加えていただき、交流のときを持ちました。また、ホーム近隣のキリスト教関連施設の来訪、ヒンズー祭の見学と対話、塩田やロープ作り農園の視察、小・中学校での日本文化の講義(!)、そしてホームの子どもたちの生活を知るホームステイなどを通して、インドの文化、生活、宗教に触れることができました。
 インドにおいて、私たちは毎晩、共に聖書を読み、その日の出来事を分かち合いました。それは、各人の体験を言葉にし、互いを刺激しあう作業でした。また、アンプマナイでは、毎朝子どもたちと一緒に祈り、日曜日の礼拝を共に守りました。
 寮やサークルの活動において、聖書を読み、キリスト教にふれている参加者一人一人でしたが、今回のキャンプにおいて、生きたキリスト教運動、キリスト者に接する中で、各人の聖書理解に立体感が加わったのでは、と確信しております。
 多くの皆さまの具体的な支援と祈祷なくしては、このキャンプは実現しなかったことでしょう。参加した一人一人にとって、非常に有意義な体験となった今キャンプをお支えいただいたことに、心からの感謝をいたします。

▼キャンパーから感想抜粋▲
○日本の社会がどんどん「快適に」「便利に」向かっている中で、外に追いやられてきた大事なものがインドには残っていると思った。それは言葉にすれば「人や自然との直接的なやりとり」とでも言えるだろうか。全て自分の前で起こり、強烈なインパクトを与えてくれるのだ。余計なものは何一つなかった。(京都大学Y・松本敬史)
○インドで本当の貧困を目の当たりにする中、子どもの笑顔に救われることが度々あった。笑顔の中には毎日を必死に生き抜くために必要になってしまった猜疑心、大人の感情を心得ているかのような表情も感じる自分がいた。日本には物があり過ぎて、日常のあたり前のことを素直に喜ぶことができない。大人もなのであろうか、感受性が乏しいように感じた。この体験はこれからの人生に大きく関わっていくことになるであろうし、インドという国の素晴らしさ、一方でインドの問題を多くの人に知ってもらいたい。(慶應学Y・坂田逸美)
○インドでは人との対話や関係の中で多くの違和感があった。その多くは、人の前に立ち、じっくりとその人に向き合ってみるという努力が足りなかったからだと思う。そして向き合うということは、自分を他者に見せるということでもある。汚さや弱さも含め、「これが自分だ」と言い切れる自信をこれからつけていきたい。(早稲田大学Y・成瀬朋樹)
*事務局にて編集・抜粋しています。報告書は6月下旬に完成予定です。

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WHAT’S UP NOW③ 九州大学YMCA100周年

WHAT’S UP NOW ③  九州大学YMCA100周年
九州大学YMCA 藤村 真琴

 九州大学YMCAは、昨年2005年をもって、設立100周年を迎えました。その歴史は、1905年に九州大学の前身である京都帝国大学福岡医科大学にYMCAが設立されたところから始まります。その後、九州帝国大学(現九州大学)が1911年に開学してからは、九州大学とともに歴史を歩んでまいりました。
 この100年の歴史を記念し、3月4日(土)には、九州大学Yのシニアで、現在もペシャワール会にて活躍されている中村哲氏を講師に招いて、100周年記念講演会を開催しました。当日は、九州大学YのみならずYMCAに連なるさまざまな方々が遠くは海外、東京、そして九州各地から多忙の中、福岡に来てくださいました。
 中村氏は、小柄でおっとりとした印象を与える方で、講演では、淡々とご自分のこれまでされてきたことを語ってくださいました。彼の視点からみたアフガニスタンやパキスタンの世界、そこで行ったハンセン病から始まる医療行為、井戸の掘削。淡々と語る様子から、中村氏の見る世界には、国境などなく、ただそこに困っている人があっただけなのだと伺えました。
 九州大学Yの100年の歴史の中、私自身が当会に関わった年月は5年を超えません。しかしながら、100年という歴史の中で大切に受け継いできたキリスト教の精神というものを幾度となく感じることができました。そして、中村氏の講演では、中村氏が同じキリスト教の精神に支えられ、突き動かされて今を生きていらっしゃるのではないか、ペシャワールにおける中村氏の偉業も、九州大学Yの歴史を培ってきた先輩方の偉業も、ともに同じ精神に根ざしているのではないか、そう思えました。
 九州大学Yは、その歴史の中で、会館学生寮を2度閉鎖し、2度再開することで今に至っています。100周年を迎えるにあたり、歴史の中でキリスト教の精神を守り、培ってこられた先輩方に深く感謝の意を表したいと思います。また、この精神をつなぎ育てていくために、九州大学Yと全国のYMCAが今後も盛会であり続けることを願いたいと思います。

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December 16, 2005

学生YMCA賛助会ニュースレターより

学生YMCAのMLより転載です。

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皆様 四ツ谷から横山です。
学生YMCA賛助会ニュースレターと関田寛雄氏講演記録集「聖書から聴く 平和へのメッセージ」を各大学、会員の皆様、都市YMCAなどに9日に送付いたしました。

さっそくに、会費やWSCF支援指定募金、オリーブの木キャンペーンに続々とご協力を賜り心より感謝申し上げます。

またこのメーリングリストでも、本文記事をご紹介してまいります。今回の巻頭言は、日本キリスト教協議会総幹事の山本俊正氏よりいただきました。ご紹介します。

賛助会ニュースレター、また関田寛雄氏の講演記録集をお求めの方、ご活用いただける方、ご連絡いただけましたらお送りいたします。また送付先などご紹介を頂けましたら幸いです。

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エキュメニカル運動の歴史とYMCA
山本 俊正(日本キリスト教協議会総幹事)

現代のエキュメニカル運動の起点は、1910年にスコットランド、エディンバラで開催された「世界宣教会議」(1910, World Missionary Conference)に求められる。この世界宣教協議会には世界各国より160のプロテスタント伝道協会から約1200名の代表が出席した。会議は10日間にわたり、その規模、内容からして歴史上、初めての国際宣教会議であった。討議の焦点及び主題は「いかに全世界を伝道できるか」に当てられ、会議の終了と同時に「全世界への伝道」の招きの使信がそれぞれ「キリスト教国における教会員」宛と「非キリスト教国におけるキリスト教会員」宛に分けて発せられた。
このキリスト教を伝道することにおける一致の招きは1921年に国際宣教協議会(International Missionary Council=IMC)の成立を導き、1961年にはWCCに合流して、WCC内に「世界宣教と伝道委員会」が設置される。エディンバラ会議以降、1925年にはストックホルムにて「生活と 実践に関する世界キリスト教会議」(1925,Universal Christian Conference on Life and Work)が 「教理は分裂をもたらすが、奉仕は一つにする」を標題として開催される。

また、1927年にはローザンヌにて「信仰と職制世界会議」(1927,World Conf.on Faith and Order)が開催される。以上のように、WCCの創立は1948年であるが、1910年に開催された「世界宣教会議」がもたらした「宣教」という視点、「生活と実践運動」が提起した「倫理」的課題への共通の取り組み、そして、「宣教」、「倫理」という実践的側面に加えて聖礼典や職務という伝統的教理の相違を越えての教会の「一致」をめざす「信仰と職制運動」の三つの潮流が機構的に合流されて現在のWCCの歩みが開始され、エキュメニカル運動が進められた。    
      
 一方、YMCAは、1844年、ロンドンに誕生後、1855年には赤十字社の創始者でもあるヘンリー・デュナンたちの尽力によりパリにて世界会議を開催し、パリ基準を採択する。パリ基準は「YMCAは聖書に従ってイエス・キリストをわが神、わが救い主として仰ぎ・・・彼の弟子でありたいと願う青年たちを一つにし・・・」と書かれており、キリスト教運動としてのYMCAのアイデンティティを明確にしている。このパリ基準を起点としてYMCAは世界大のキリスト教青年運動として拡大し発展を遂げる。同時にパリ基準は世界YWCA(1894)、WSCF(世界学生キリスト教連盟)(1895)、WCC(世界教会協議会)(1948)の創立理念にキリスト教青年運動の視点をもって寄与した。このようにYMCAはエキュメニカル運動(教会一致運動)の先駆者であった。

現在のエキュメニカル運動においてWCCの求心力は初期の時代に比べて相対的に低下したと言われる。まさに、いまこそYMCA、学生YMCAの出番ではないだろうか。

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